僕は一回死んだ

悲しくもないのに涙が出るのは何故だろう

ずっと夢の中にいてさっき目覚めたようだ

 


一回死んだのだ。

あったかもしれない目の前の未来を、過去から続いていたはずの果てしない道も、いたかもしれない新たな命も、家族も、新たな人生も、見たかもしれない景色も、全て途切れて消えていった。これは事実だ。もう二度と掴むことはできない。

 


僕はもうこれから先結婚することもなければ、子供ができることもないだろう。親に申し訳ないが、不思議と確信がある。誰とも向き合うことがもはやできないのだ。正直鬱陶しくも感じる。

 


祖母も親も兄弟もネコも、みんな先に死んでいく。明日かもしれない。積み上げたものも全て無意味になってしまうかもしれない。そして結局、僕もいつか朽ちて消えていく。だから今を生きていく理由が必要なんだ。でも、僕にはそれがない

 


幸福も別れも愛情も、自分ばかりが大好き過ぎて、幸福の意味さえ分からず、目先の快楽を求め、誰かと分かち合うことを本当は軽々しく見ている

 


寂しいなんて言葉で自分の傷は癒えていくのか。おどけて、嘘をつき続け、本当の自分を殺していくのは自分が可哀想だ

 


そんなくだらない意地だけを抱え、また明日を生きていく。

 


何もない日常が素晴らしい、本当はそういうことが言いたい