過ごした時間が

部屋は真っ白で気も落ち着かず、部屋に光はあたらない。湿気もひどく、ボイラーの音が聞こえる。お世辞にもあまり楽しい記憶はない家だったが、なぜか明け渡すときは寂しさを感じた。

一年前に見た部屋と同じ部屋だが、何もかもが違って見えた。ここから始まり、ここで終わった。

帰り道、右に曲がろうとして、もう右に曲がっても帰る家はないことを知る。

この家に住む人がもう決まっているらしい。どんな人が住むのだろうか。

いや、もう関係ないことだ。

ここには間違いなく1年が流れた。

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