着飾る意味とは

コンゴ共和国にサプールと呼ばれる人たちがいる。
厳密にはサプールとは人のことではなく、服を着飾り、見栄をきることで品位と誇りと平和を求める精神を示す。

 

国民の3割の月収が2万円であり、1日150円で生きている。そんな中、サプールは給料の大半を服に注ぎ込み、着飾ることをやめない。自分たちの生活レベルからかけ離れた散財であり、見栄を張っているようにしか見えないかもしれない。それでもなぜ彼らは辞めないのか。

 

彼らは休日だけサプールとなる。平日は肉体労働者であり、貧困の中に生きている。
サプールはそんな日常の希望である。現実の辛さ、煩悩から解放し、非日常へと自分をいざなう。服は品位を高め、心を豊かにする。貧しくても、彼らは品位を保とうとしている。それは見栄を張っているのではなく、見栄を切っていたのだ。なりたい自分を表現し、その瞬間を輝かせる。姿・形に精神が追い付いていく。


人の記憶に残るのは、コントラスのある物語だろう。
彼らが輝いて見えるのは、普段は暗闇にいるからだ。暗闇から光を照らし、貧困の中で品位を体現している。
相反しているように見えて、本質は足りない所、必要としている所からしか生まれない。

 

着飾るのは悪いことではない。着飾るという意味は、決して他者からの称賛や虚栄心を満たすことでない。自分に誇りを持つということだ。